1. HOME
  2. ブログ
  3. [法改正]800万円以下の不動産仲介手数料は30万円に引き上げ

[法改正]800万円以下の不動産仲介手数料は30万円に引き上げ

800万円以下の不動産仲介手数料は30万円に引き上げ

この背景にあるのは、令和5年版が公表された「住宅・土地統計調査」にもあるように、日本の総住宅数は6502万戸で過去最多となり、常に居住していない「空き家」の数は、全国で900万戸に達したこと。
特に空き家率は13.8%にまで上昇している。
日本の総人口が減少する一方で、住宅の数は増え続け、それに比例して空き家も増えている実態があります。

こちらは、令和6年4月30日に総務省から発表された資料の一部抜粋になります。

*********************************************************************************

総住宅数のうち、空き家は900万戸と、2018年(849万戸)と比べ、51万戸の増加で過去最多となっており、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%と、2018年(13.6%)から0.2ポイント上昇し、過去最高となっています。
空き家数の推移をみると、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍。

空き家数のうち「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万戸と、2018年(349万戸) と比べ、37万戸の増加となっており、総住宅数に占める割合は5.9%となっています。 

*********************************************************************************

その一方で、大きく影響しているのが、不動産会社が不動産の売買などを仲介した際の手数料に規制があることも否めません。

売買では、価額が400万円を超える場合には「売買価格×3%+6万円+消費税」となります。
なお、200万円以下の場合は売買価格の5%が上限なので、200万円の取引なら仲介手数料は最大で10万円+消費税しか受け取れないことになります。

空き家の中でも、放置されたままの空き家は低価格な取引にしかならないことが多いため、特に地方においては空き家を仲介したとしてもこの経費を差し引くと手元に残らないケースが考えられます。
そうなると、不動産会社は、都市部の高額な住宅の売買に向けたほうがより効率的なので、不動産会社があえて価額の低い仲介に積極的に取り組みづらいということになるという背景も考えられています。

不動産売買の仲介手数料は、国土交通省が定めた「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)によって上限の額が決まっています。

仲介手数料を定めたこの「昭和45年建設省告示第1552号」は、2017(平成29)年12月8日に改正され、2018(平成30)年1月1日より仲介手数料の料率が「物件売買価格が400万円以下の場合、売主から最大18万円受け取ることができる」ことに変更されました。

さらに今回、2024(令和6)年6月21日に改正され、2024(令和6)年7月1日より、「物件売買価格が800万円以下の場合、最大30万円(税抜)受け取ることができる」ことに変更されました。

今までも物件価格800万円の場合は、手数料は3%+6万円で30万円でした。
しかし、この30万円は800万円の場合であり、物件価格に応じて一定額を受け取れるよう規定されており、例えば400万円の物件の取引だと、仲介手数料は18万円でした。
こうした様々な背景を受けて今回の改正案では、低価格な取引となる空き家の売買などの仲介をした場合、価額が800万円以下であれば仲介手数料を従来の規定より多く受け取ることができるという改定内容になっています。
ただし、「30万円の1.1倍に相当する金額を超えてはならない」などの制限が設けてあります。

「長期の空家等の媒介特例」

「長期の空き家等の媒介特例」とは、空き家取引の仲介において、不動産会社が借主から受け取る手数料を家賃の2カ月分まで引き上げる特例となっております。

賃貸借取引に係る報酬額

【原則】
依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、1ヶ月分の借賃に1.1を乗じた金額以内
※居住用建物の場合、依頼者の一方から、1ヶ月分の借賃に0.55を乗じた金額以内 (媒介の依頼を受けるに当たって依頼者の承諾を得ている場合を除く)

【長期の空家等の媒介の特例】
長期の空家等(現に長期間使用されておらず、又は将来にわたり使用の見込みがない宅地建物)については、当該媒介に要する費用を勘案して、貸主である依頼者から、原則による上限を超えて報酬を受領できる(1ヶ月分の2.2倍が上限)物件価格の3%+6万円」

 

空き家を放置すると、やがて使用が難しくなり、景観の悪化、倒壊の危険、悪臭・害虫の発生や火災の要因にもなる場合があります。
アパートやマンションなどの場合は管理費等の滞納、共用部の劣化や外壁剥落などの場合は、周辺環境に様々な悪影響を与えることになります。
そうなると空き家の解体費用もますます増加し、一方でその費用が懸念材料となり、さらに放置したままの状況が考えられます。

そこで国としては、「住むことができる」空き家をなるべく早目に利活用してもらえるよう、中古住宅の流通活性化を目標にもう何年も掲げていますが、なかなか進まず、特に地方の空き家などは物件価格が低く仲介手数料も低いため、遠方になると通常より調査費や時間も係ることから、売主から売却依頼があっても、不動産会社に断られるケースが増えているようです。

今現在、全国247市区町村の自治体においては、不動産会社(宅地建物取引業者)が1店舗も経営しておらず、全国の自治体全体の14%を占めています。
この背景としても考えられている、現状の仲介手数料。

そんな状況の中、宅地・建物の物件価格が100万円でも400万円でも、物件価格が800万円以下の宅地建物の場合は、仲介手数料として最大30万円を受け取ることができるようになりました。
土地や建物について、状態は不問とされたことから、築年数等についても関係ありません。

注意点として、媒介契約の締結の際に、あらかじめ報酬額について依頼者に説明し、依頼者と不動産会社の両者間で合意する必要があるとされています。

800万円以下の物件の仲介手数料は、最大30万円。」ということを覚えておくといいかと思います。

媒介業務以外の関連業務の明確化

今までも、媒介業務以外の関連業務(不動産コンサルティング業務)については、媒介業務との区分を明確化した上で、別に報酬として受けることができましたが、その業務の定義が曖昧でわかりづらいものでした。

しかし今回の改訂により、媒介業務以外の関連業務の内容が明確に提示されましたので、ここにお知らせします。

①所有者等に対する助言、総合調整等の業務
◎利活用に向けた課題整理
◎活用方針の提案、収支推計
◎相続の相談、手続支援
◎賃貸時の空室対策
◎境界確定や権利者間協議の支援
◎リフォーム提案
◎専門職種の紹介
◎税金に係る情報提供 など

②所有者等から受託して行う空き家等の管理業務
◎除草・通風・通水・清掃
◎定期的な点検
◎修繕等の提案
◎家財の片付け
◎郵便物の保管・転送 など

 

以上、今回の法改正による不動産取引への影響についてご説明させていただきました。
詳しくは、弊社スタッフまでお問い合わせください。

 

 

 

 

関連記事

【ブログアーカイブ】